スワップポイントを狙う場合の注意
FXの収益において基本となるのは、値動きによる損益狙いです。しかし、年単位での長期投資を考えた場合、「スワップポイント」がその利益に大きく寄与する可能性があることは事実です。ゼロ金利が続く円と比較して、外貨の中には高い金利が付く通貨も存在します。このような高金利通貨を買い、低金利の通貨(円など)を売る取引は1990年代から活発になってきました。主に、ヘッジファンドなど海外の大口投資家から始まったとされています。日本でも、高金利通貨に対する投資は、現在、注目を集めています。例えば、外貨預金においてはニュージーランドドル預金が近年人気を集めているようです。
FXが1998年の法改正によって誕生してから、急激に市場を拡大していく中でも、英ポンド・オーストラリアドル・ニュージーランドドルのような高金利通貨を買い、円を売る取引ポジションの人気は、確実に上昇しています。
しかし、このようなポジションを維持していく場合、特に値動きのリスクについては注意が必要です。人気の高金利通貨のひとつに英ポンドがありますが、1年間のスワップポイントによる期待収益が1ポンド当たり9円程度です。これに対して、年間の値幅(上下幅)は、30円以上あることは決して珍しいことではありません。過去の実績では50円以上動くことさえあるのです。例えば、10万ポンドの買いポジションで、年間で90万円程度のスワップポイントを期待したと想定します。もし、持った時点から30円の円高に進んだ場合、評価損は300万円まで膨れ上がります。その後、戻るという保証はどこにもありません。取引金額を増やせば増やすほど、スワップポイントによる受け取り総額も支払い総額も増えることになります。しかし、同時に値動きによるリスクも同じだけ増えていることを常に考えておかねばなりません。高金利通貨とは言え、値動きが本格的に逆に動いた場合、スワップポイントでは到底カバーできない損が出る可能性があるのです。
値動きについても考えてみましょう。高金利が人気になって買いが出やすいと想定すると、上昇する期待が強そうに感じられます。しかし、スワップポイントを前提にした長期的投資においては、そうした図式はあてはまりません。金利が高い国は、それだけ物価も上がりやすくなっています。ここで、物価を介した購買力平価(外国為替レートが自国通貨と外国通貨の購買力の比率により決まると考えること)から考えてみましょう。
A国とB国があります。それぞれの金利は以下のとおりです。
・A国:0%
・B国:10%
レートは1A=1Bで、例えばリンゴ1個の値段も1A=1Bです。
1年後に1Aはそのまま1Aですが、1Bは10%の金利が付いて1.1Bになっています。リンゴの値段もB国では1.1Bになっているはずです(でないと誰も物を作りません)。リンゴの価値は変わりませんから、リンゴを介すると、レートは1A=1.1Bになっていることがわかります。A通貨高・B通貨安です。
実際には、上記の例ほど単純ではありません。短期的に金利は世界の資金を集める要因になっているからです。歴史的に見ても、高金利通貨=恒常的な通貨高にはなっていません。どちらかというと、買いというよりも売られ気味であることは意識しておきましょう。
