買いからか、売りからか

 これまでは(初心者に適した通貨ペア(1)~(4))、初心者に適した通貨ペアの種類を、それぞれのメリット・デメリットなどと共に解説してきました。実際に取引する通貨ペアを決めたら、次に選択するのは、その通貨ペアを買うのか、売るのか、ということです。株式投資とは異なり、売りからも買いからも自由に取引を始めることができるのは、FXの大きな利点の一つです。

 相場というのは、上がるか下がるかのどちらかしかありません。様々な状況の変化に応じて地合いが変化していく中で、売り買いの片側に偏ることなく、自らの予想に沿って、柔軟な取引を行うことが必要です。

 外貨預金などでは、円安局面でないと利益を得ることが難しかったのですが、FXでは、円高局面でも大きな収益のチャンスがあります。例えば、1995年に1ドル80円を割り込む大きな円高局面がありました。外貨預金などの場合、ただ損が膨らむだけだったこのような場面でも、FXなら、ドル売りからポジションを持つことで大きな収益の可能性が増えます。

 ただし、この時、気をつけたいのが「スワップポイント」についてです。スワップポイントは、取引した通貨の金利差によって発生するものです。高金利通貨売り・低金利通貨買いのポジションを維持し続けると、金利差分のコストを支払い続けなくてはなりません。例えば、ドル売り円買いなどです。

 値動きによる損益に比べて、スワップポイントによる損益は小さく、1~2日程度の短期売買では考慮する必要は全くありません。しかし、数カ月から1年といった長い期間、ポジションを維持し続ける場合は、トータルの損益にかなり大きな影響を及ぼす可能性があります。

 例えば、ドル円を買った場合を考えてみます。2006年4月時点の水準で、ドル円のスワップポイントは、1日1万ドルにつき154円の受け取り、売った場合は157円の支払いです。
 1万ドルで1円の値動きがあれば、その損益は1万円になりますから、1日・150円程度の損益は短期的にはほとんど無視できます。しかし、1年間、売りで持ち続けた場合、総支払額は5万7305円となるのです。このコストを値動きの収益で埋めるには、5円73銭のドル安円高が進まなくてはなりません。これは、なかなか馬鹿にできない金額と考えられます。

 短期の取引を行う場合では、スワップポイントをほぼ無視して、自分の予想に忠実な取引を繰り返します。取引期間が長くなるにつれ、スワップポイントを意識する割合というのは増えますから、長期の場合は、スワップポイントの支払い側のポジションを持つ場合のコストを覚悟して取引をしなくてはなりません。しかし、実際のところ、1年間の値動きは、一般的に10円以上はあります。円高局面が大きく進行するような状況だと、そのコストを払っても十分利益を得ることが可能です。取引は、あくまで値動きによるいわゆるキャピタルゲインが本道で、スワップポイントはオマケ・ボーナス程度という感覚で行うのが良いのではないでしょうか。