時間と為替市場
時間と為替市場~時間帯による取引差
外国為替の市場は、多様な参加者がそれぞれの理由で取引に参加しています。その中には、時間による要因や、季節による要因が発生することがあります。国単位の経済指標のような大きな影響にはなりえませんが、個人での小額投資では、五分五分の確率からの上下動を見極めるのに役立つことでしょう。
ここでは、時間帯による取引量の特徴を紹介します。
●取引の多い時間帯
株式市場とは異なり、外国為替市場は24時間取引が行われていることになっています。しかし、取引の多くを占める銀行間取引では、取引時間帯によって取引量にかなりの差があるのです。最も取引の多いのは、「ロンドン時間」と呼ばれる、東京の夕方から深夜の時間帯です。
この時間帯は、ヨーロッパ全域の銀行が取引を活発に行い、市場が大きく動きます。また、東京・香港・シンガポールのような国の銀行は夕方の時間ですが、ディーラーも途中まで残っています。また、朝に当たる時間のニューヨークの銀行は、途中から参加してきます。このように、アジア・ヨーロッパ・アメリカと、3極全てのディーラーが同時に取引を行うため、比例して取引量も上がります。また、欧米の通貨当局からの発言や経済指標など、相場を動かす要因となる材料も、このロンドン時間に多く集まります。ヘッジファンドなどの大口の注文も、こうした流動性の高いところを狙ってきますので、最も動きが出やすい時間帯と言えます。
●取引の少ない時間帯
取引の少ない時間帯は、東京では早朝の時間帯に当たります。この時間帯は、朝早く・帰りも早いニューヨーク勢は帰宅、東京も早朝ですから当然本格参加前です。よって、取引の中心は、オーストラリア・ニュージーランドのようなオセアニア勢となります。しかし、その絶対数は少なく、基本的には目立った動きはありません。ですが、時々、大口の注文が入り必要以上に相場が動くことがあり、逆に不安定な時間帯だとも考えられます。
時間と為替市場~1日でのキーポイント・昼
各国の時差があることから、取引における時間帯の取引差が発生することは、既に説明してきました(外国為替市場の性質とトレンド(7):時間と為替市場~時間帯による取引差)。ここでは、東京(日本)における1日の流れを追いかけ、その中でキーポイントとなる時間を紹介していきます。取引量が多い、少ないということだけでなく、やはり取引において注目すべき時間などが存在するのです。
この記事の中の時間は、日本時間で昼間とされる時間を解説しています。
●午前9時55分
この時間は、東京の銀行の「仲値」が発表されます。仲値とは、銀行の窓口で両替を行う際に、その日の基準となるレートです。海外旅行先で現金が必要になる個人だけでなく、外貨預金・外貨建債券・小口貿易の決済などに利用されます。
額が大きい企業の決済に関しては、
・輸出業者:常態的に為替が発生するため、仲値ではなくその時のレートを使うことが一般的。
・その他の企業:物品の購入などで一時的に決済の必要が生じる際は仲値で決済を行うことが多い。
ということになり、ドル買い円売り方向が多くなります。また、個人の海外旅行や外貨預金などの両替需要もドル買い方向の人が多く、基本的に仲値はドル買い円売りです。
●午後3時
この時間は、オプション取引の「東京カット」と呼ばれる行使期限の時間です。午後3時で、その日の東京市場における行使期限のオプションが消滅するため、それまでの動きが一変することがあるのです。
オプションには特定の条件があり様々です。例えば、期限までに120円を付けなければ利益がもらえ、逆に付くとその権利がなくなるというオプションがあります。今のレートが119円台だとすると、このオプションを持っている参加者は、何とか付けないように119円90~99銭の水準でドル売り注文を入れてきます。しかし、そうした動きは午後3時を過ぎてオプション自体がなくなると、もう出ないのです。よって、これまでの売り注文が一気になくなるだけでなく、それまでに売った分の買い戻しまで出て一気に上昇することもあります。
時間と為替市場~1日でのキーポイント・夜
東京の1日の流れにおいて、キーポイントとなる時間を紹介しています。
この記事の中の時間は、日本時間で夜とされる時間です。
●午後9時半
この時間帯(米国が冬時間採用時は午後10時半になります)は、米国の主要な経済指標が発表されます。
市場の注目度が高く、判断材料となる米国の雇用統計や貿易収支になどの情報は、それまでの市場の動きを一変させることもあります。夜においては、特にこの時間帯での注意が必要です。
●午後11時
この時間帯(米国が冬時間採用時は午前0時になります)は、オプション取引の「ニューヨークカット」と呼ばれ、ほとんどのオプション取引が午後3時、もしくは午後11時のいずれかを選択して期限が決められていることから来ています。特徴は、昼間の午後3時と同じです。ただし、ニューヨークカットの取引の方が、東京カットよりもオプションの取引量が多くなる傾向があり、その差には注意が必要です。
●午前0時
午前0時(ロンドン冬時間採用時は、午前1時になります)は、ロンドンフィックス(仲値)を決める時間です。これは、投信の設定などの際の基準となるレートによく使用されます。クロス円での利用が多いとも言われており、まれに、ドル円、クロス円などがこの時間帯に合わせて大きく買い進まれることがあります。
