証拠金について
証拠金について~その概要
個人にとっての外国為替証拠金取引の大きな魅力でもあり、逆に理解を困難にしている部分でもあるのが、「証拠金」と呼ばれる取引制度です。要するに、少額の資金を担保に、何十倍もの投資が可能となるものです。FXを理解する上では重要になりますので、まずは概要について解説します。
外国為替証拠金取引では、預け入れた資金は、取引の売買代金そのものとして利用されることはありません。ここが実際に取引を始めるにあたって、多くの人が二の足を踏んでいるポイントを思われます。
では、その資金はどのように使われるのでしょうか。証拠金は文字通り「証拠」という形で、取引代金とは別に扱われます。外国為替証拠金取引では、取引額の全額を受け渡しするようなことはありません。
例えば、1ドル120円を1万ドル購入する場合、全額を受け渡したとすると120万円もの金額を必要とします。こんなにお金が動くような取引では、とても気軽に始めることはできません。その点、証拠金は、全額取引ではなく「差金決済」のために使われます。
差金決済とは、取引を決済した際に生じる損益分「のみ」について、プラスマイナスのやりとりを行う決済方法です。取引業者に預け入れた資金(証拠金)は、もし取引で損が出た場合に、その損を支払うための証拠金(担保)として利用されることになるのです(利益が出た場合はその逆となります)。
ですから、預け入れた資金は、外貨を売り買いする度にその額が上下するのではなく、そこで発生した差額によってのみ上下するのが基本であると理解してください。
証拠金について~取引の例
担保として預け入れた証拠金の実際の動きについて、例を挙げて解説します。
例えば、1ドルが115円だった場合、1万ドルの外貨預金をするためには、1万×115円=115万円の資金を用意してドルを買う必要があります。ですが、外国為替証拠金取引では、5万円程度の資金を証拠金として預けることによって、1万ドルの取引が可能になります。
5万円と115万円ですから、これは大きな差です。それでは、その110万円もの差はどのような扱いになるのでしょうか。
実際には、1万ドルを買うにあたって必要な金額である115万円を、取引業者から借りるということになります。この際、借りた担保として、最初に預け入れた金額である、5万円が証拠金として扱われるという考え方をするとわかりやすいのではないでしょうか。
ちなみに、この例のようにドルを買って、その分の円を借りている状態のことを、「ドル円の買いポジションを持つ」と言います。
取引の動きの例として、「1万ドルの買いポジションを持った」後にレートが下がってしまったケースを考えます。1ドル115円のレートが、114円にまで下がってしまったケースです。
この場合、最初に115万円借りたのに対し、レートが下がった後では、持っているドルには114万円の価値しかなくなったことになります。しかし、最初に担保として5万円を預けていることで、損失(115万円と114万円の差)をこの証拠金で補償することで、取引を続けることが可能となるのです。
証拠金について~証拠金と損失の許容
証拠金は、担保として取引の最初に預け入れるお金ですが、そこで考えなくてはならない問題があります。それは、最初に預け入れる証拠金がどれだけ必要か、また、損失を許容するのはどの程度までか、と言う点です。これは、主に取引をする際に選択する取引業者によって変わってきます。
例えば、FXの取引業者である「FXCMジャパン」社の場合、最低限維持しなければならない証拠金は「2万円」と設定されています。この場合、最低限「維持」というわけですから、それ以上を預け入れなくては、現実的には取引ができないことになります。
つまり、預け入れた証拠金から、評価損(レート上における損失)を引いた金額が、2万円を切るまでは取引が可能である、というわけです。
例えば、「FXCMジャパン」社に5万円を預け入れて、1ドル115円の時に1万ドル買う場合を考えてみましょう。
この後、仮に1ドル112円までレートが下がってしまった場合、最初に借りた1万ドル115万円に対して、レートの上で1万ドルの価値が112万円に下がってしまったことになります。
ここでの、レート上における損失、すなわち評価損は115万円-112万円=3万円という計算です。
先に預け入れた証拠金5万円から3万円を差し引くと、担保としての証拠金は残り2万円しか残りません。
この状態から、あと1銭でもレートが下がってしまうと、強制的に取引が決済されて損失が確定するという仕組みになっています。
証拠金について~円以外からの取引開始
取引の担保として預け入れる「証拠金」のシステムのメリットは、少ない元手で大きな金額を取引できるだけではありません。
ドル円の買いではなく売りから取引を始めることや、円と関係のない通貨を取引することも可能となります。
預け入れた資金は、あくまで担保(証拠金)です。ドル円を買う場合でも、取引に必要な円は業者から借りることを考えると、最初に円ではなくドルを借りてきて、ドルを売り、円を受け取るという取引から始めこともできます。
ここでは、「売り」から取引に入った場合の例を解説します。レートが1ドル115円の時に、1万ドルを取引業者から借りる所から開始します。
まず、借りた1万ドルを売り、115万円を受け取ります。この状態を「ドル円で1万ドルの売りポジションを持つ」と呼びます。
その後、例えば、1ドル114円に下がった時、1万ドルを買います。ここで、先ほど1万ドルを売って得た115万円から、114万円を支払います。
最初、1万ドルを借りていましたから、その後買った1万ドルで返すことで、ドルは差し引きでゼロになります。また、最初借りた1万ドルを売って115万円を受け取っており、次に1万ドルを買う際にそこから114万円を支払ったのですから、円の差引きは1万円のプラスとして計上されます。
逆に、1ドル116円となった場合、1万円の損となってしまう訳ですが、その際は最初に預け入れた証拠金の5万円で担保・補償します。
円とは関係のない「ユーロドル」のような取引を行う場合でも同じです。
最初に5万円を預け入れ、1ユーロ1.2ドルの時に1万ユーロの買いを行ったとします(ユーロドルで1万ユーロの買いポジション)。
この時、必要な売買代金1万2000ドルを取引業者から借りてきて、1万ユーロを買うことになります。
その後、もし1ユーロ1.19ドルのレートになった場合、買った1万ユーロには1万1900ドルの価値しかありません。
この時の評価損100ドルを、円の価値(1ドル115円の場合)に直すと、1万1500円です。担保としての証拠金から1万1500円がマイナスですが、まだ損失の許容に達していなければ、取引を続けることが可能です。
